マンガタフ、オリジナル小説


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第一話 スターへの道

大阪の町に先週、東京から親の仕事の件でとある家族が引っ越して来た。

その家族の中にいる石毛少年は転校すると初日から不良の連中に目をつけられ、いじめの対象にされた。

もう一週間になる。

石毛はこれからどうしたらよいのか考えたあげく、
喧嘩に強くならなければと思いついた。

とある日曜日、石毛は喧嘩に強くなるために町の本屋にでかけた。

いろいろ歩いて回ったが、お目当ての本は売っていなかった。

もう帰ろうかと思いながら商店街を歩いていると、
三石童という一軒の本屋があった。

石毛は最後によって見るかと中に入った。

中に入るとお客は2人しかおらず、中は小さく汚い本たちが並べられていた。

喧嘩の本を探していると、2冊の本を見つけて、目を輝やかせた。

2冊の本のタイトルは、喧嘩に強くなる方法と喧嘩格闘検といった。

石毛は本を手に取り、内容を見ると喜びながらその2冊の本を持ってレジへと向かった。

レジにいくと年老いた男性の店員がいた。

石毛が本をだすと、老人はギロリと石毛をいちべつした。

思わず石毛の全身に悪寒が走った。

老人は(2冊で1200円だょ)というと、石毛を待った。

石毛はズボンのポケットからお財布をだすと、老人に1200円渡した。
少し手が震えていた。

老人は本を紙袋に入れると、(まいどあり)と言って
石毛に渡した。

石毛は早々と立ち去ると、少し歩いてから止まって
袋を破いて、道路に紙袋を捨てた。

石毛は満足しながらゆっくりと歩くと言う。

(エヘヘ、ずっと探していた本がやっとあったぞ······)

その時、近くから男たちの怒号の声が響き渡って石毛はびっくりとした。

(いちびったナリしくさって、オオっ?)

(ホンマはビビってションベンチビりまくっとんちゃうケ······)

商店街の脇に小さな道があり、3人の男たちが言い争っていた。

石毛が見てみるとどうやら1対2の喧嘩のようだ。

石毛はビビりながら電柱にしがみついて見た。

(だ······誰かが不良に絡まれている!)

2人組の男の1人はリーゼント頭のやせ形の男で、もう1人は、太っていてメガネをかけている不良だった。


もう1人は背が低く、髪を短くしてたたせているガタイのいい男であった。


石毛が電柱の影から(どうしょう、どうしょう)と見守ってみていると、背の小さい男が、2人組の不良に甲高く言う。


(だれがびびっとるねん······)

不良のメガネをかけている男が、その言葉を聞いて怒り狂いながら言った。


(なんやとオ······)

背の小さい男が猛りながら言った。


(ワシは南京町のブタマンと同じくらいケンカが好きやねんで、おいしいて、ハッピー、ハッピーやんケ······)


と言いながら目を鋭くさせて2人をにらんだ。


2人の不良ははらわたをにえくりかえながら背の小さい男に走った。


走りながらメガネの不良が怒号の声で言う。

(こ···このチンカスが! 足腰だけやない、チンチンもたたんようにしたんど、こらぁっ!)


メガネの不良は、背の小さい男の間合いに入ると右ストレートを放った。


だが、背の小さい男は腰を下げてパンチをかわし、

(ヒュォォォ)と言いながら凄まじいスピードで回り込んで、メガネの不良の右足の関節部分を蹴った。

(ミッシ)という鈍い音をたてるとメガネの不良は

関節部分に強烈な痛みを感じて転倒し転げ回った。

履いていた靴が飛ぶ。

もう1人の不良の男は、後ろから背の小さい男の顔面めがけておもいっきり右ストレートを放った。

だが、背の小さい男は当たる寸前、クルリと回り右手の人差し指を立てて、正確にストレートを放ってきた不良の男のはなの穴をとらえた。


不良の男は顔が蒼白になりながら言う。


(ひゃぶ)


背の小さい男はそのまま不良を掴み投げ飛ばした。


不良の鼻からは鮮血がほとばしった。

2人組の不良の男は完全にノックアウトされて、道端に転がっていた。

もはや動くことが出来ない。


背の小さい男は血がついた指の匂いをかぐ。

(くさー)


勝ち誇った顔をしながら背の小さい男は道端に転がっていた2人の不良に言う。

(ワシは青葉工業の宮沢キイチや······文句あんやったらいつでもこんかい······)


その光景を最後まで見ていた石毛は、体全身を震わせながら言う。

(宮沢···キイチ···)


宮沢家はとある場所にある団地に住んでいた。

朝、8時10分すぎキイチは目覚めた。

寝ぼけながら大きなあくびをする。

時計を見ると驚いて大声を出した。

(どわー遅刻してしまうやんケ、おとん、なんで起こしてくれへんねん······)

キイチは飛び起きて学校へいく支度をした。

キイチの父親とおじいちゃんは部屋でのんびりと朝食を食べていた。

キイチが部屋に入ると父親が言う。

(高2にもなってなに甘えたことをいうとるんじゃ······

じぶんで起きんかい·······)

キイチはその言葉にショックを受けながら言う。

(かーっ、冷たいのオ······)

おじいちゃんは怒りながら父親をみていう。

(そゃ!、お前は冷たいで·······)

キイチは時間がないのでご飯を茶碗に大盛で入れると、卵焼きやお新香をのせて、低脂肪牛乳をご飯にかけて混ぜながら食べ始めた。


キイチは幸せそうに言う。

(ちょう、見てくれは悪うても栄養のバランスはとれとるワ······)

おじいちゃんは本当に嫌な顔をしながらキイチに言う。

(キイチ、そんなエグイもん食うてはらがピーピーにならへんか!、正露丸飲んどけ······)

と言う。


だが、キイチはモグモグと食べながら言った。

(ワシがそんなヤワなストマックしとるかい·····ごっそさん······)


キイチは部屋に置いてあった服を着ると出かけようとした。

(ほな、行ってくるで······)

その姿を見た父親は、険しい顔をしながらキイチに言う。


(キイチ······お母ちゃんに挨拶せい······)

キイチはそうだと思いながら言う。

(おお、そうやった······)

キイチはゆっくりと仏壇にいくと鐘を鳴らして言った。


(おかん、行ってきます······)

キイチは家のドアを開けて走り出した。


団地の通路を抜けて外に出る。

キイチはバカヅラをしながら両手を広げて走り出した。

左右に自転車置き場かありその前は道路だった。その場所でキイチは甲高い声をあげていた。

(キィーン······)

その姿を遠くから見ていた集団がいた。

この間、キイチにボコボコにされた2人組が属する不良集団である。

不良集団のリーダーは背が高く筋肉の塊のような男であった。

彼はキイチにやられた2人から話を聞くと、彼らをリンチにかけた。

リーダーはカンコーヒを飲み終えると、コーヒーをネジり回して捨てる。

右足はリンチにしたリーゼントの男の顔をふんずけていた。

もう一人のメガネの男もリンチにあいずたぼろになっていた。

リーダーはリンチにかけた二人を見ながら言う。

(あないなハナクソにええようにいわされて、こいつらワシの兵隊のツラ汚しじゃ······)

なにも知らないキイチは学校へと急いだ。